正社員を守る労働組合

朝日新聞連載「平成経済 グローバル化と危機」、12月10日は「ブラック企業を生んだ「分断」」でした。
・・・20年前の金融危機は、「大企業に勤めれば生涯安泰」という戦後の神話を崩壊させた。リストラは日常の光景となって、沈みゆく船に正社員はしがみつき、あふれた非正社員との間に「分断」をもたらした。その隙間をぬうように生まれたのが、若者を酷使する「ブラック企業」だった・・・
本文を読んでいただくとして、次のような記述もあります。

・・・正社員を守ろうとしたのは労働組合も同じだった。
このころ、金融危機後の景気低迷で完全失業率が最悪の5%台にのると、春闘は「賃上げより雇用」が合言葉になった。電機各社の労組でつくる電機連合は02年春闘で初めて、賃金を底上げするベースアップの統一要求を見送った。
当時委員長だった鈴木勝利さん(75)は「ITバブル崩壊で、電機各社には賃上げに応じる体力がなかった」と語る。同時に、正社員以外の雇用形態の人たちに、労組は目配りする余裕をなくしてしまった。
東芝労組出身の鈴木さんによると、高度成長期、余剰人員が出ると、労組から臨時工やパートの雇い止めを求めることさえあった。労組員の雇用を守るためだ。当時は再就職しやすいという判断もあった。だが、2000年代初めは人あまりの時代だった。
「やがて戦後の労働組合運動は、企業別労組に端を発した正社員のメンバーズクラブに変質した」。鈴木さんは指摘する・・・