連載を振り返って8

文章を練る

執筆に当たっては、わかりやすい読み物とすること。抽象論でなく、私の体験に基づいた、実例を入れた実践的なものとすることを、心がけました。

これも、難しいのです。具体事例はわかりやすいのですが、応用が利きません。抽象的すぎると、実用的でありません。その中間で書く必要があります。
堅苦しい説教だと、読んでもらえません。笑い話ばかりを書くわけにもいきません。毎回、書いては消しての、くり返しでした。
読み物とすると、ややもすれば冗長になります。それを避けるために、いったん書いた原稿を削ります。毎回の原稿は、活字になったときは、原文のおおむね3分の2になっています。せっかく書いた文章を泣く泣く削除するのですが、読んでみるとその方が読みやすいのです。

内容が独りよがりのものにならないように、原稿段階で、「右筆」に意見をもらい、手を入れてもらいました。この右筆は、ある省の幹部です。彼もいろいろな経験、それも私とは違った職場を経験しています。しばしば、私とは違った見方をする人です。文章の達人でもあります。
原稿に真っ赤に手を入れられたときもあります。でも、そこがよいのですよね。感謝しています。
さらに、校閲係が手を入れてくれました。毎回、朱が入ったゲラを見ると、「なるほど」と思うことばかりでした。