読書のサーフィン

ひょんなことから、高田康成著『キケローヨーロッパの知的伝統』(1999年、岩波新書)を読みました。なぜこの本を読もうとしたのか、もう忘れたのですが(反省。別の本に紹介されていたのでしょう)。キケロは、長年気になっていたのです。彼の人生と言うより、中世から近世まで、ヨーロッパの教養としてその雄弁術が引き継がれたことについてです。
次に、吉村忠典著『古代ローマ帝国―その支配の実像』(1997年、岩波新書)を読みました。古代ローマ帝国の時代の話は、興味があるとともに、現代日本とは時空が離れているので、お気楽に読めるのですよね。寝転がってです。

さらに本棚にあった、石川明人著『キリスト教と戦争ー愛と平和を説きつつ戦う論理』(2016年、中公新書)を読みました。連想ゲームのようにです。
へえ、と思うことが多いです。特に、『キリスト教と戦争』では、初期キリスト教が、私たちがイメージしているような、絶対平和主義・非暴力主義とは異なっていたこと。後のキリスト教徒も、異教徒や他教派を迫害し、戦争や植民地支配を行って勢力を拡大したこと。
愛と平和を説きつつ、イスラム教徒と激しい戦いを続け、新大陸では原住民を虐待し、黒人を奴隷にする。組織的かつ大量にです(もっともこの本には、そのあたりはあまり取り上げていません)。異教徒である私には、理解しがたいことも多いです。この本は、現代日本のキリスト教団の「平和主義」についても、冷静に批判しています。

キリスト教の成立については、かつて読んだ、佐藤研著『聖書時代史新約篇』(2003年、岩波現代文庫)と、山我哲雄著『聖書時代史旧約篇』(2003年、岩波現代文庫)が、勉強になりました。というか、刮目でした。イエスは生きているときに、キリスト教をつくったのではないことなどです。今、彼が再度復活してキリスト教会を見たら、びっくりするでしょうね。中世に復活したら、もっとびっくりでしょう。
私の場合は、宗教・信仰としてではなく、歴史として読んでいます。