中国、官僚の不作為

2月15日の朝日新聞「核心の中国」は、「反腐敗に軟らかな抵抗、違反扱い警戒「何もしない」江蘇省泰州の官僚」でした。
工場の建物が完成したのに、周囲の道路が手つかずだった。市の幹部が、仕事を進めなかったとのこと。
・・・こうした「不作為」が、静かに広がっている。
かつては企業を誘致さえできれば、手段はなんでもありだった。だが、今は違う。2015年5月、共産党機関紙・人民日報は地方官僚たちの本音をこう伝えた。
「(習近平指導部の)反腐敗が厳しく、無理をすれば規則違反に問われる。何もしなければ、違反に問われることはない」
習国家主席も、手を焼いている。「不作為の問題を重視し、解決しなければならない」。昨年1月に地方の幹部を集めた党の会議でも、強調してみせた。だが、自らが旗を振る反腐敗が国中に行き渡るにつれて、皮肉にも手足が動かなくなり始めているのだ。
昨夏、一つの言葉が中国のネット上で瞬く間に広がった。「軟らかな抵抗」。中国人民大学の金燦栄教授が広東省広州での講演で語った言葉だ。金教授の専門は国際関係だが、国内政治の現状をこう論じた。
「15年ごろから、習主席は全国で軟らかな抵抗に遭っている」。地方のエリートや政府幹部の不作為は普遍的な現象だという。「彼らは守れと言われた規定は非常にまじめに守る。上に反対はしない。だが、誰も仕事をしないから、あらゆる政策は無意味になる」・・・