藤沢烈さんの新著

藤沢烈さんの新著を紹介します。『社会のために働く 』(2015年、講談社)。藤沢さんは、このホームページでもしばしば取り上げている、NPOの代表です。大震災の発災直後から、ボランティア活動と復興庁をつなぐ復興庁の非常勤職員の一人として、私たちを助けてくれました。
このNPOは、被災地で肉体労働的支援をするのではありません。被災地で求められている課題を調べ、その解決に協力してくれる相手(企業やNPO、国など)を探して紹介するのです。彼は、これをコーディネイトと呼んでいます。労力の支援でなく、知恵の支援といったら良いでしょうか。コンサルタントが、問題を分析して企画を提案するのに対し、コーディネーターは、その企画を実行するところまで伴走するのです。また、問題解決を自ら指示してやってしまうプロデューサーでは、被災地や被災者が主体になりません(p22)。この指摘は、わかりやすいです。
この本は、被災地での支援をきっかけに生まれた、新しい社会貢献的事業や、企業による新しい支援のあり方の実例紹介です。事例紹介が具体的で、わかりやすいです。「社会課題の解決が新しい価値創造になる」というのです。
企業による復興支援には、CSRによるものと事業とがあります。また、金銭や物資の提供といった渡しきりの支援と、現地の課題解決のために継続して行う支援があります。震災を機に、社会を変える新しい動きが出ています。それも、企業やNPOによってです。新聞報道などで断片的に取り上げられていますが、このようにまとまって紹介してもらうと、わかりやすいです。
終わりの方に、私も出てくるのですが、過分な評価に、恥ずかしいです。でも、民間の若手には、私はそう見えていたのですね。ただし、私の発言が「東京弁」で書いてあります。これは大きな間違いです(笑い)。