時代の雰囲気と政治指導者

日経新聞経済教室11月12日、米中間選挙、オバマ大敗、中山俊宏・慶応大学教授の「制御できぬ世界、募る不安」から。
・・だが、ここで見逃してはならないのは、オバマ政権の外交政策が、おおむね国民の気分と合致しているということである。米国民は依然として2000年代の介入主義の時代に疲れを感じている。できることなら面倒な国際情勢に関わりたくない。こうした気分が、米国には蔓延している。
オバマ政権がイスラム国に対する空からの攻撃を決定した際、決して地上軍は派遣しないと言明したのも、こうした気分をくみ取ってのことだ。つまり政権からすると、国民が望むことをやっているのに、国民からの支持を得られていないということになる。
なぜか。それは個々の状況への対応とは別に、オバマ政権が国際情勢そのものをコントロールできていない、つまり米国の衰退を加速させているのではないかという不信感が根底にあるからだ。
かつてクリントン政権の「政権内哲学者(in-house philosopher)」とも呼ばれたブルッキングス研究所のシニアフェロー、ウイリアム・ガルストン氏は、今回の選挙を「カオス選挙」と評する。民主党系の人物のオバマ批判だけに、説得力がある。
すべてがどうもうまく作動していないという感覚、さらに、それが今後もしばらく続きそうだという不安のなかで行われたのが、今回の選挙であった。そして、それらを醸成してしまったのがオバマ大統領だというのが、同氏の批判だ・・
時代の雰囲気が、政治指導者を選びます。が、政治指導者の役割の一つが、時代の雰囲気を作ることです。そして、マスコミの仕事でもあります。正しいと思われる政策を行っていても、必ずしも世論は評価しません。「時代の雰囲気」といった、曖昧な表現を使って申し訳ありません。2008年(平成20年)には、2008年の時代の雰囲気がありました。