事件を起こす少年は加害者か被害者か、捨てられたという意識

朝日新聞オピニオン欄10月3日「少年事件を考える」、井垣康弘さん(元裁判官・弁護士)の発言から。
・・社会は重大事件を起こす子どもを「モンスター」「野獣」とみます。実際は、母親から「あんたみたいな子、産まなかったら良かった」などと嘆かれ、教師からは「お前は学校に来るな」とののしられ、だれからも認めてもらえないために生きる意欲を失った子どもです。自殺する子も多いのですが、親や教師を含む社会に「恨みの一撃を与えてから死にたい」と思ったごく少数の子どもが無差別の殺人事件を起こすのです・・
・・彼らがなぜこういうことをしたのか社会は克明に知るべきです。生きる意欲を失った経過、社会に対する恨みの内容、一撃を加えたいと思った理由などは家裁の調査で判明します。詳しくわかれば、事件を防ぐ方法も見つかる。そのために家裁は克明な決定書を公表すべきで、メディアも審判の代表取材を求めるべきです。社会が何を教訓としたらいいのかを知らせなくてはいけないと思います。
私は家裁で約6千件の少年審判を担当しましたが、鑑別所に入る中学生はほとんどが離婚家庭の子ども。養育費の支払いもなく父親から完全に捨てられた形になっている子は、月に5千円でも送金されている子よりはるかに自己肯定感が低い。そのうえ彼らは学校でも落ちこぼれ、分数はできず、漢字もほとんど書けません。親の離婚、再婚に関連して子どもを放任するのは、「社会的虐待」です。
親の離婚そのものは仕方なくても、子どもが「捨てられていない」と感じられることが非常に重要です。一刻も早く別れたいという思いで養育費はいらないという母親が多いですが、それは危険な行為です。日本では離婚や再婚に伴う「虐待」が平然と多量に行われていることをまず自覚しなくてはいけないと思います・・
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