この四半世紀の日本の政治改革、その5

・・そのためには政党は普段から内部で徹底的に議論をし、組織の凝集性を高めていく努力が必要であるが、他の先進国と比べて日本の政党のそうした組織的努力はきわめて不十分である。
当然のことながら、他の社会的組織と比べてもその性格が曖昧であり、政治家たちの便宜を満たすための道具のようにしか見えないこともある。この組織的な弱体をトップリーダー個人への期待によって代替しようとする試みは、当然のことながら、政治の不安定と背中合わせである。さればといって、懐かしい不透明性の昔の世界に戻るわけにもいかない。その意味で「平成デモクラシー」はなお暫く真摯な自己改革を必要としている・・

いつもながら、視野の広いかつ切れ味のよい、佐々木先生の分析です。私は、「行政改革の現在位置~その進化と課題」(北海道大学公共政策大学院の年報『公共政策学』第5号、2011年3月。p37~)で、1990年代以降の行政改革を整理しました。この20年間に、様々なそして大きな行政改革が行われ、あわせて範囲と目的が広がってきたこと論じました。それらの改革がなぜ行われたか、その社会経済的背景を述べるとともに、それらを「小さな政府・財政再建」「官の役割変更・経済活性化」「ガバナンス改革」の3つに分類しました。行政改革が単なる組織や予算の削減にとどまらず、官の役割見直しや行政機構のガバナンス改革に広がっていることを指摘しました。
拙稿は、20年間の行政改革を対象としましたが、佐々木先生の論考は政治を対象としておられます。拙稿での分類の一つ「ガバナンス改革」が、政治改革との共通分野になります。