本の都ヴェネチア

アレッサンドロ・マルツォ・マーニョ著『そのとき、本が生まれた』(邦訳2013年、柏書房)が興味深かったです。グーテンベルクが西洋で印刷術を発明したことはよく知られていますが、その後、どのようにして商業出版が発達したか。
ヴェネチアが本の都になり、ユダヤ教やイスラム教の経典、アルメニア語やギリシャ語の本、楽譜や地図まで、出版の一大拠点になっていたのだそうです。500年の歴史に耐え、焚書ににも生き残り、それら貴重な本が残っているのです。
ルネサンスが起点としても、フィレンツェやローマでなく、なぜヴェネチアだったのか。それは、本を読んでください。
そして、なぜヴェネチアの出版が衰退したか。宗教の締め付けがきつくなり自由な出版が制約されたことやヴェネチアの勢力の衰退によるようです。
ところで、「ナポレオン時代の医師で哲学者のドナート・アントニオ・アルトマーレは、1562年に『マナについて』を出版し、全46ページで聖書に登場する食べ物を解説している」(p182)は、何かの間違いだと思いますが。