現代病、心の病

野中猛著『心の病 回復への道』(2012年、岩波新書)を読みました。
冒頭に「親しい人を3人思い浮かべて、その3人がおかしくなければ、おかしいのはあなただ!」という言葉が紹介されています。精神疾患の生涯有病率は25%に上るので、一生の間に精神疾患にかかるのは4人に1人という勘定になるのです。
会社でも役所でも、管理職の人は、職員の中に心の病を持っている人を抱えて、悩んでおられるでしょう。
精神疾患には、脳神経の病(脳の病)と、対人関係のストレスや人生上の苦悩など(心の悩み)の両方があります。治療方法も進化していますが、まだわからないことも多いとのことです。
病院に隔離する政策から、日常生活に復帰を目指す治療に変化してきていること、「精神分裂病」という呼び名が「統合失調症」に変わったことなど、わかりやすく勉強になりました。
あわせて、「健康」や「回復」の意味が変わってきていることも、納得しました。病気や障害が全くなくなることが理想ですが、多くの人が糖尿病や高血圧症でも薬を飲みながら普通に暮らしています。病気を持っていても、うまくつきあっている状態が健康です。回復も、病気が全くなくなることではなく、意味ある人生を取り戻すことです。なるほど。