国民の政府への信頼

今日、あるところで、復興の課題について、お話をする機会がありました。質疑応答の際に、政府に対する国民の信頼についての、質問がありました。今回の大震災、特に原発事故対応のまずさから、国民の政府への信頼が大きく損なわれたのではないか、という趣旨の指摘です。
御指摘の通りだと思います。発災以来、そのことを考えていたのですが、あまりに大きな課題であることと、胸に思うところがあって、今日はうまくお答えすることができませんでした。

会社が商品やサービスを売る際に、その会社や商品の信頼は、価格や品質とともに、いえそれ以上に重要な要素です。中味がわからないときに、私たちは発売元の会社を信用して選択します。
行政サービスはほとんどの場合、選択の余地がありませんが、国民の地方自治体や国への信頼は、日常の行政執行の際に現れると思います。 住民に信頼されない政府は、政策実行に大きなコストがかかります。この点については、拙著『新地方自治入門』p269で、述べました。

信頼を築くには長年の積み重ねが必要ですが、それを失うのはあっという間です。明治以来、先人たちが積み重ねてきた日本政府への信頼、官僚や行政機構への信頼を、この20年で私たちは大きく損なってしまいました。
政府への信頼については、いくつもの研究が出ています。今回失われた信頼を取り戻すには、多大な努力と時間が必要でしょう。情報を公開すること、良いこともまずいことも。そして、一つ一つ課題を解決して、国民の信頼を回復するしかありません。