政策思考力を養う

北海道大学の宮脇淳先生が、『政策を創る!考える力を身につける!「政策思考力」基礎講座』(2011年、ぎょうせい)を、出版されました。中央政府の職員にも、地方政府の職員にも、新しい課題に対し、政策を考えることが要求されます。
何度も書いていますが、先進諸国に学び、政策を輸入する時代は、とっくの昔に終わりました。例えば、世界一の高齢国になった日本に、お手本はありません。地域の産業をどう振興するか。課題は、地元にあります。
自治大学校などでは、いわゆるケーススタディで、具体的な課題について、どのように対策を考え実行に移すかを、練習してもらっています。
宮脇先生の新著は、ケーススタディではなく、その前に必要となる基礎力を養うものです。例えば、「全体の議論をしているはずなのに、個々の詳細な細部の議論に終始してしまうと、1つの枝(細部)の議論が終わると、次の枝の議論になってしまい、全体の議論に至らない。これを、ムササビ議論と呼ぶ」といった指摘(p239)は、皆さん思い当たるところがあるでしょう。長い会議や、回数だけ重ねているのに、結論が出ない会議です(笑い)。
読者としては、政策を創っている人やこれから政策を創っていく人、30~40代の町を盛り上げようとしている人を中心に、考えておられるそうです。この本は、政策基礎力原論ともいうべき書物で、読みこなすには少し努力が必要かもしれません。政策を作ることができる幹部を目指している職員の皆さん、チャレンジしてください。