組織を考える視点・その2

昨日の続きです。
(継承と変革)
最近、組織の設計と管理を考える時に、もう一つ重要な切り口があることに気づきました。それは、継承と変革です。
職員は、決められたことを実行しなければなりません。上司の命令、規則や法令に違反して、勝手なことをしてはいけません。しかし、現場でそれら規則に合わない事態が起きたときや、社会が変化してこれまでのやり方ではうまくいかない場合に、仕事のやり方や仕事そのものを変えていく必要があります。
そのために、組織論として、組織の中に、継承と変革の仕組みを組み込んでおくことが必要ではないかということです。

経営者が交代することで、変わる場合もあります。例えば、社長の交代、政権や首長の交代です。しかし、それは外部からの指示であり、たぶん大きな方針変更でしょう。そうではなく、現場での執行段階での変革の仕組み、組織内部での変革の仕組みが必要だということです。
「官僚機構とは、命じられたことを実行する仕組みである」と定義づければ、組織と職員による自らの改革は不要でしょうが、私はそうではないと考えています。

この場合も、組織と人との二つがあるのでしょう。
人の場合は、職員が改革意識を持っているかどうかです。幹部とともに、一般職員にその意識をどう植え付けるかが、課題になります。各職員の改革意欲であり、組織の文化・DNAです。しかし、これは人の意識に左右されるという欠点があります。

組織に着目すると、改革を担う部署を組み込んでおくということです。従来通りのことを続けていては、発展はありません。民間企業の場合は競争があるので、新しい製品を考えたり、業務の効率化を考えることが、組み込まれていることが多いのではないでしょうか。そのような部署とともに、カイゼン運動があります。
行政機関の場合に、どう設計するかです。これまでは、自らの予算や組織を大きくすることは、得意でした。事業の拡大ではなく、新しい問題を拾い上げること、今やっているやり方を変えること、場合によっては縮小することもです。この場合も、各人や各部署が、てんで勝手に好きなことをしては、収拾がつかなくなります。しかし、統制だけでは新しい変化は生まれません。かつて書いたように、秩序と混乱、維持と発展のバランスをどう取るかになります。