20年間の経済停滞

8月30日の日経新聞オピニオン欄「核心」に、西岡幸一さんが、1991年と現在の日本経済を、比較しておられました。当時(1991年10~12月期)の名目GDPは477兆円で、なんと現在(2010年4~6月期)と同じです。20年間で、成長していないと言うことです。
需要項目で見ると、設備投資が94兆円から63兆円に、31兆円も激減。3分の2です。これに対し、政府の消費が、65兆円から95兆円に、30兆円増えています。ちょうど、入れ替わっているのです。これで経済を支えたのですが、設備投資は成長の源泉であり、政府の消費は「消費」です。社会保障給付が、主な内容でしょう。このほか、公共投資も住宅投資も、減っています。
ここには書かれていませんが、資金循環も、これと同じことを表しています。国民の個人金融資産は約1,500兆円ですが、かつてはそれが銀行預金や株の購入などによって、企業の設備投資に回りました。現在では、それらは銀行と郵便貯金を経由して、国債という形で国が吸い上げています。投資に回らないと、成長はありません。資金が国債でなく民間に回るようになった時、景気はよくなります。しかし、国債は売られ、場合によっては暴落します。ごくごく単純化すれば、こうなります。