想定問答の罪

「官僚とは、『できません』と言う動物である」、という批判があります。私も、そのような場面に、何度も出くわしました。「めんどうだ」というのが、その原因のようですが、優秀で仕事熱心な若手公務員も「できません」と言うことがあるので、それだけでは説明できません。最近、別の原因を発見しました。
それは、「想定問答」です。国会審議や、地方団体・マスコミなどから問い合わせに備えて、想定問答を作ります。それは、現在の制度を前提にしてつくっているので、「現行制度で対応できます」か、「○○の理由で、できません」という答になります。これはこれで、正しいのです。
しかし、「このような制度改正をしてはどうか」という質問が出た時は、この答では答になっていないのです。求められているのは、現行制度でできない理由でなく、どうしたらできるか、あるいは代案はどのような問題があるかです。
ところが、このような場合にも、先に作った想定問答を、そのまま繰り返してしまうのです。現行制度の解説と、制度改革の議論は別なのです。