イギリスの公務員給与

英国大使館の河合君に、次のようなことを教えてもらいました。昨年11月に教えてもらったのですが、紹介する機会を失していました。なお、当時は1ポンド230円で換算していましたが、今は約210円になっています。
英国にもオンブズマンのように、ボランタリーに税金の無駄遣い等を監視している、納税者連合(The TaxPayers’ Alliance)という団体があります。2004年設立と歴史は浅いのですが、昨年初めて公的機関の高額所得者リスト(上位300人)を独自に作成・公表し話題を呼びました。
その新年度版が、2007年11月に公表されました。この対象には、政府及びその関係機関・外郭団体のみならず、BBC・ロイヤルメール・旧国鉄各社といった民営化されたものも含めた事業会社も含まれており、最上位はそうした会社の役員で占められています。
各省の官僚も、相当数がランクインしています。官僚のランキングトップは、地域社会・自治省のLocal and Regional Governance局長で、年収285,000ポンド(約6,555万円)の51位でした。それに続くのがガス・オドーネル内閣官房長官(我が国の内閣官房副長官・事務に相当する官僚のトップ)で年収264,600ポンド(約6,086万円)の58位です。ブラウン首相は188,849ポンド(約4,344万円)の143位に過ぎず、それを上回る中央省庁(エージェンシーなどを除く)の幹部職員は、20名に上ります。
地方団体の事務総長にもランクイン(300位は年収15万ポンド(約3,450万円)してもいいぐらいの年収の人もいると思いますが、地方団体まではさすがに手が回らないのか、含まれていないようです。ただし、ロンドン交通局総裁が年収435,200ポンド(約1億円)で25位、スコットランド政府の事務次官が年収155,000ポンド(約3,565万円)で266位です。ロンドン警察のイアン・ブレア警視総監は、23万ポンド(約5,290万円で80位です。
その他の主な特徴は、
・年収100万ポンド(約2億3千万円)超は1人のみで、ロイヤル・メールの事務総長
・年収50万ポンド(約1億1,500万円)超は17人
・年収25万ポンド(約5,750万円)超は66人。
・リストに掲載された300人の2006年度の平均昇給率は、12.8%(民間も含む全国平均は約4%、一般職公務員の基準は約2%)。
・リストに掲載された300人の平均年収は23万7,564ポンド(約5,464万円)で、労働時間が法定上限の週35時間だと仮定すると時給130ポンド(約29,900円)に相当する。
首相よりも高い人が役人にいくらでもいますし、首相以外の閣僚はランクインすらしていませんので、自分の役所の大臣より給料の高い官僚は数知れません。英国では官民に関わらず、年功序列の定期昇給制度は基本的に崩壊し、幹部職員になればなるほど、そして有意な人材になればなるほど、よりよい待遇を求めて転職を繰り返すことになりますので、ある程度の条件を出さなければ、いい人は採れないという状況は理解できます。
以上、河合君の報告を基に、概要を書きました。イギリスでは、職業公務員は専門職で、政治家は名誉職である、との思想があるようです。地方議員の給与も、これが反映しているようです。なお、この文章は、私が手を入れているので、文責は私にあります。