2004年欧州視察随行記2

8月20日(金曜日)
ホテルでは毎朝、日本語新聞を差し入れてくれる。朝日、読売、日経のいずれか。「ロンドンで印刷している」と書いてある。日本語放送TVもあり、日本の情報はそのまま入ってくる。新聞もTVニュースも日本より遅れるが、時差があるので、こちらの生活にはちょうどの時間になる。すなわち、当地の朝6時に起きてテレビをつけると、日本の朝のニュースや昼のニュースをやっている。
郵政民営化関係や三位一体改革のニュースが多い。議員さんたちの発言、「新聞は、アテネ・オリンピックのほかは、総務省の記事ばかりだ」
小生の答、「はい、それだけ総務省は重要な仕事、改革をやっているんです」
小生はパソコンを持ってきているので、インターネットでNHKや新聞社のホームページを見ることができる。今やホテルの部屋には、インターネットの端末が必ずある。市内や国内のアクセスポイントへつなげば、1分10円ほどでつながる(もっとも、ホテルによっては市内通話がえらく高い。これは日本でも同じだが)。
職場とのメールのやりとりも簡単。いくつか仕事も処理した。知事会が3兆円の補助金廃止を決定する過程も、ヨーロッパで同時に知ることができた。
今朝は、デュッセルドルフから飛行機でパリへ。飛行機はエール・フランス。免税品の販売がない。カタログがない。そうだ、ドイツからフランスへは、国境を越えるが税関は越えない。関税や通貨の点からは、この飛行機は「国内線」なのだ。デュッセルドルフ空港でも、パリのシャルル・ドゴール空港でも、パスポート・コントロールはない。2年前も経験しているはずだが、改めてEU統合の効果を知る。
午後は、パリの隣にあるイッシー・レ・ムリノー市役所を訪問。IT先進市として有名。
夜は大使公邸で、フランスの政治情勢や日仏関係について説明を受ける。新聞だけではわからないことを、教えてもらう。ちなみに公邸は、高級ブランド店が並んでいるサントノレ通りにある。エリゼ宮(大統領府)の並び。正面はパリによくある風格ある建物で、間口は狭い。が、中には奥行きのある庭が広がっている。
フランス大使館にも、総務省から、犬童君と植村君が出向してきている。日本の専門分野に詳しいので、相手とのやりとりの際も非常に円滑に行く。ありがたい。
8月21日(土曜日)
パリで教えてもらった小話を一つ。
フランス人に「日本のイメージは何ですか?」と聞いたら、答えは「1にソニー、2にホンダ」。
「それで、3は?」と聞くと、「3にルイ・ヴィトン」とのこと。
凱旋門近くのルイ・ヴィトンの店舗は、今、工事中。その工事用覆いが、あの鞄のデザインになっている。やたらと目立つ。
「会社の売り上げは、3割が日本でしたっけ」と聞くと、「いいえ、『あの工事費の8割は円でまかなわれている』と言われています」とのこと。「フランス人は、ルイ・ヴィトンを持ちませんから」。
今日は土曜日。市内見学。
もっともバスの中でも、議員の先生方の議論が続く。昼食や夕食も、毎回じっくりと飲みかつ食べながら、話が弾む。今回の視察団は、自民党・民主党・共産党・社民党の先生方がそろっておられるので、議論の弾むこと。なるほど、これが議員視察のもう一つの重要な効用か。議論に参加しながら、納得する。
8月22日(日曜日)
今日も休日で、市内見学。でもまずは、中央郵便局を視察に行く。
こちらでは、日曜日はデパートを始め、ほとんどの商店が閉まっている。その中で、中央郵便局では、「休日窓口」が開いている。早朝のしばらくの時間を除き、開いているとのこと。もちろん、町の中の郵便局は、今日は閉まっている。中央郵便局では、日本の若い女性が3人、小包を送る手続きをしていた。
8月23日(月曜日)
フランスの経済産業省に行く。ここで、財政・経済・産業の他に、郵政事業も管轄している。
フランスの郵便は、ラ・ポストといって、日本とほぼ同じ公社形態。過疎地でのサービス維持について質問がでる。
この国では、子会社をたくさん作って、国外進出をしているようだ。国内での民営化は国外からの参入につながり、それは国外での競争になる。
ドイツやフランスでは、外国と陸続きであること、EU統合で西の先進諸国間での競争と東の後進国への展開があること、かつての植民地諸国での事業展開、という要素がある。もちろんアメリカ資本との戦いも。
島国日本は、その点遅れがちか。ヨーロッパ市場は置くとして、中国と東南アジア市場を考えざるを得ない。そうすると、国営事業より、やはり一定の民営化をする方が、「動きやすい」のだろう。もっとも、私はその面での専門家ではないので、・・。
夜、シャルル・ドゴール発の飛行機で成田に向けて出発。
お疲れさまでした。
8日の期間中、一度も現地通貨のユーロを使わなかった。ホテル代は、カードで支払った。その他は、朝から寝るまで、議員さんと集団行動。食事代は一括して支払ってもらって、帰国後精算とのこと。自由時間がないので、お金を使うことがない。ティップを使うこともない。正確には、公衆トイレに入るときに50セントと、枕元にティップを置くために数ユーロを、補佐から貸してもらった。随行とはこういうことなんだと、改めて納得。