三位一体改革9

経済財政諮問会議での議論
経済財政諮問会議で、「骨太の方針2004」の議論が進んでいます。三位一体改革は、4月26日に麻生大臣が麻生プランを発表して以来、表だった進展はないようです。19日に提出された「素案」p7では、全くの白紙になっています。
昨年の今頃は、各省間の協議が何回も行われたものの進まず、また、分権会議水口私案が出て混乱していました。最後は、総理の「3年間で4兆円補助金見直し、基幹税で移譲」との指示が出て決着しました。今年は、麻生大臣のイニシアティブのもと、順調に進むことを期待しています。(5月20日)
5月19日の経済財政諮問会議議事要旨が公表されました。20日付けの日記で、「素案p7では、全くの白紙になっています」と書きました。その点について麻生大臣は「・・ものの見事に何も書いていないが、・・・書き込まないで、ずっと先延ばしにしようという意図を感じさせる・・」p16と発言されています。
また、p9には、財政審議会への批判、生活保護・医療についての地方負担に関する発言が出ています。ご覧ください。議論が公開されることは、責任ある政治を行う際に重要です。(5月24日)
総理が3兆円税源移譲を指示
28日の経済財政諮問会議で、「骨太の方針2004」が審議されました。三位一体改革については、原文に無かった「3兆円の税源移譲」が、書き込まれることになりました。麻生大臣の主張に、総理も同調なさったとのことです。併せて、対象とする国庫補助負担金は、地方団体に選んでもらおうというのが、総理の指示だそうです。
財務大臣は、反対されたそうです。しかし、代案を出さない限り、改革を進めたい総理としては、麻生大臣に軍配を上げられると思います。近く、竹中大臣の記者会見と議事要旨が載ります。ご覧ください。
今回もまた、政治による決断、リーダーシップによって進みました。それはまた、官僚の限界が、再び見えたことでもあります。官僚の一人としては、残念ですが。
新聞記事の中には、「地方の行政改革が停滞する」など、とんちんかんなことを、書いているのもありました。三位一体の目的を、はき違えてますよね(三位一体改革を歳出カットとしか、とらえていないグループがいるのです)。また、麻生大臣は、「行革は進める」と主張しています。前にも書きましたが、国が歳出削減を進めないのに、地方交付税などが大きく削減されたから、地方団体は不満を持ったのです。
財務省の言うことをそのまま書くのは、そろそろやめて欲しいですね。また、それを大きく載せるデスクも・・(各紙の経済部のデスクは、大蔵省記者クラブのOBが多いのだそうです)。しかし私は、こうして「抵抗勢力」連合軍は、自らの信頼を自ら崩していってるんだと考えています。(5月29日)
報道の中には、総理の指示に対し「財務省は巻き返しに」とか「6月3日の骨太の方針決定までには、なお流動的」といったのがあります。
私を含め多くの人には、これは理解しがたいことでしょう。一国の総理が指示したことを、官僚が「変更」しようとするのです。その指示が国を誤らせるようなことであって、身を賭して「お諫め申し上げる」のなら、わかります。しかし、近年、諫言が聞き入れられず、辞職した官僚はいませんよね。
また、総理の決断に問題点があるのなら、それを指摘するのは重要です。しかし、今回の総理指示は、それほど「サプライズ」ではありません。麻生大臣が4月26日に提案して、諮問会議でも議論がされました。財務大臣が強く反対されたことも事実です。それら政治家による議論を踏まえて、総理が選択されたのです。それを官僚が「巻き返す」とは、理解しがたいです。(5月30日)
【3兆円税源移譲目標決定】
6月3日の経済財政諮問会議で、「骨太の方針2004」が決まりました。4日に閣議決定されます。三位一体について、もめていた部分については、28日の会議での総理発言(議事概要p15、麻生大臣の主張はp12)に沿った形で、記述がなされました。新聞に載っているとおりです。
ポイントは、次のようなものです(方針p8)。
①18年度までに、3兆円規模の税源移譲をする。
②残る3兆円の補助金改革は、地方団体に案をまとめてもらう。
③今年の秋に、18年度までの改革の全体像を明らかにする。その際には、地方の意見を聞く。
④地方の歳出を抑制しつつ、安定的な財政運営のための一般財源総額を確保する。
1日の日記に書いた、地方公務員給与についても、「方針」p8に記述があります。(6月3日)