三位一体改革7

4 これで地方の自由度は高まるのか。
(答)
「地方団体の自由度」には、二つの軸があります。
一つは、お金の自由度(縛り)軸、すなわち、「国庫補助負担金で国の縛りがある」か「一般財源で地方が自由に使える」かです。
二つは、仕事の自由度(縛り)軸、すなわち、「国による法令の縛りがある」か「法令の縛りがなく、地方が自由に仕事ができる」かです。
一般財源化すると、地方団体は国に対して補助金の申請をしなくてよくなり、結果についての国による検査もなくなります。その財源は、地方税か地方交付税あるいは一般財源としての交付金となるので、国の指図無しに自由に使うことができます。
しかし、その事務の仕方が地方団体の自由になるかは、別のことです。義務教育職員給与費の国庫負担金がなくなり、地方税に振り替えられても、教職員を設置する基準を定めた法律がある限りは、地方の仕事の自由度は高まりません。
今回の公立保育所負担金一般財源化の場合は、これまで国庫負担金の対象とならなかった、基準に満たない小規模・駅前保育所も財源措置の対象となり、市町村はやりやすくなります。これは、①の自由度です。
しかし、②については変化ありません。本当に自由に仕事をするためには、法令の縛りをなくす必要があります。三位一体改革その3参照
5 今回の改革で、廃止された補助金に見合うだけの一般財源が与えられない地方団体がある。また、税源移譲が進むと、都会と地方との財政格差は広がるが、どのように対処するのか。
(答)
所得譲与税は、人口で配分します。全国では、廃止する補助金総額と新たな一般財源総額は一致させるとしても、個別の団体では、補助金廃止に見合うだけの所得譲与税等が与えられない地方団体も発生します。これらの団体では、不足する分を交付税が補てんすることになります。
一方、所得譲与税等が、廃止された補助金額以上に来る団体にあっては、その分だけ交付税が減ります。「損得」はない仕組みになっています(法律ができるまで3で麻生大臣がパネルを使って説明しているのは、このことです)。
今後、税源移譲が進むと、地域間の税収格差・財政力の差は広がることがあります。それに対処するためには、
まず、なるべく地域に偏在しない税源を移譲します。現在提唱されている「住民所得課税の一定税率化」は、法人課税に比べ所得課税は偏在度が少ないこと、累進制から比例化にすることによって、偏在度が緩和されます。この他、地方消費税も偏在度が小さいです。法人課税の地方団体間での「分割基準」を見直すことでも、偏在度は小さくできます。
それでも解消されない分は、地方交付税制度で調整します。さらに、地方交付税で財源調整できない不交付団体については、譲与税や国庫補助金の譲与制限・交付制限などが考えられます。
6 歳出削減は、どこまで進むのか。
(答)
今後の地方団体の歳出は、国の基準があるものにあっては、各年度の国の予算編成によって決まります。また、それ以外のものは、地方財政計画の策定を通じて決定されます。
当面、「骨太の方針」では今後3年間で、地方公務員数は4万人削減・一般行政経費は前年度以下・投資単独事業はバブル期前に戻すこととしています。
さらなる予測は、三位一体改革その5参照
7 財源保障機能と財源調整機能は、縮小するのか。特に、財務省は財源保障機能の廃止を主張しているが
(答)
わが国の行政の仕組みを前提とすると、両機能は廃止することができません。すなわち、国が地方団体に多くの事務を義務付けているいること。一方、地方団体には十分な税源が与えられておらず、また地方団体間に税源の偏在・財政力格差があることから、財源保障機能と財源調整機能は、両方とも必要があるのです。
国が地方団体に事務を義務付けておきながら、十分な財源措置をしないことは、許されないのです。「独自課税で賄えばいい」という主張もありますが、現状の税制では、とても十分な額は確保できません。
ただし、地方団体へ義務付けた事務が縮小することによって、財源保障の範囲は縮小します。(4月10日)